公立高校を受験する生徒にとって、過去問集は必ず買う参考書の1冊で、最も重要な問題集の1冊でもある。
にもかかわらず、ついつい書店でたまたま手にとった過去問集を買ってしまいがちだ。
いや、書店で手に取るならまだ間違いも起きにくいだろう。
しかし、ネットショッピングで過去問集を買ってしまうと、手元に届いてからこんなはずじゃなかったと後悔しかねない。
ここでは受験生たちに少しでも良い過去問集選びをしてもらうために、後悔しない過去問集の選び方を5つにまとめて紹介したいと思う。
また、私が個人的におすすめする3つの過去問集を紹介した上で、5つの選び方に基づいてこれらの過去問集を評価してみたいと思う。
後悔しない過去問集選びの参考にしていただければ幸いだ。
目次
過去問集の選び方【5つの基準】
過去問集は解説で選ぶな
受験期に過去問集を使用したことのある人なら誰でも分かることだと思うが、過去問集の解説は分かりにくい。
これは、どの出版社の過去問集についてもある程度共通な特徴で、やむを得ないことでもある。
というのも、過去問集に取り組むということはそれなりに受験勉強が完成していることを前提としている。
問題の解き方を詳しく理解し、覚えるのは別の受験対策問題集の役割なのだ。
過去問集の解説には、お決まりの解き方のどれを使っているかが簡潔に書かれているに過ぎないのだ。
過去問集の表紙には「詳しい解説」をアピールしているものも少なくないが、あまり真に受けてはならない。
過去問集の解説には期待してはならない。
それでは、過去問集は何で選べばよいか?
過去問集の選び方
過去問集は、次の5つの基準で選ぶとよい。
- 掲載年数
- リスニングCDの有無
- 国語の問題文省略の有無
- 前期試験などの問題の有無
- 問題の配列方法
前に挙げたものほど重要で、後に行くほど重要度は下がる。
以下で、これら5つの基準の詳細について解説したいと思う。
1.掲載年数
過去問選びで最も重要なのは、過去問が何年分掲載されているかだ。
当然、掲載年数は多ければ多いほどよい。
過去問集の中には2,3年分しか掲載されていないものもあるが、少なくとも5年分以上は掲載されている過去問集を選んだほうが良い。
掲載年数はどの過去問集にもたいてい表紙にデカデカと書かれている。
逆に、表紙に掲載年数が書かれていないような場合は、掲載年数が少ない可能性がある。
避けたほうが無難だ。
2.リスニングCD(データ)の有無
リスニングのCDやデータが付いているかどうかも、過去問選びで重要な判断基準となる。
当然、付いていたほうが良いに決まっているのだが・・・
こう言うと、「今どきリスニングCDは付いてて当たり前じゃないか?」と反論されそうだ。
しかし、実際は意外とリスニングCDが付いていない過去問集も多いのである。
こちらも重要な内容なので、たいていは過去問集の表紙にデカデカとCDが添付されているかどうかが書かれていることが多い。
逆に、CDの有無が書かれていなければほぼ間違いなくCDは付いていないだろう。
避けたほうが無難だ。
3.国語の問題文省略の有無
国語の随筆文や小説の問題文では、著作権上の理由により問題文が省略されている場合がある。
問題文は書かれていないのに、設問と解答・解説のみを見せられることになるので、まともに現代文の対策ができないことになる。
当然、国語の問題文の省略はない方が良い。
問題文省略の有無は、過去問集の表紙や、Amazonの「商品の説明」欄にたいてい記載されている。
しかし、過去問集によっては省略の有無がどこにも全く明記されていないものもあるので、これらは避けた方が無難だろう。
4.前期試験などの問題の有無
都道府県によっては、通常の日程に行われる一般選抜に加え、前期試験などが設けられていることがある。
そして、前期試験などの特殊な日程の試験問題は、特に断らない限り過去問集に掲載されていない。
そのため、前期試験などを受験予定の場合は注意して購入する必要がある。
また逆に、一般選抜のみで受験を考えているにもかかわらず、前期試験のみを集めた過去問集を間違って買ってしまうこともあるので、注意が必要だ。
前期試験などの問題が含まれているかどうかは、過去問集の表紙などに大きく明記されている。
何も書かれていない場合は、まず間違いなく通常日程の試験問題しか掲載されていないだろう。
5.問題の配列方法(年度別か分野別か?)
過去問というと、たいていの人は年度別に整理された入試問題を想像するのではないだろうか?
しかし過去問集によっては、問題が分野別に並び替えられているものもある。
問題の並びが年度別か分野別か、どちらが良いかは目的によって異なる。
年度別の場合は、入試本番がどんな問題構成になっているか知り、どの問題にじっくり取り組むべきかなどを分析するのに向いている。
これに対して分野別の場合は、苦手分野や確実に得点したい分野などを実際の入試問題を使って練習していくのに向いている。
問題の配列方法は、表紙などに特に明記がなければ年度別に配列されていると考えて間違いない。
おすすめの過去問集3選
私が個人的におすすめするのは次の3つの過去問集だ。
- 英俊社の過去問集
- 東京学参の過去問集
- 高校入試虎の巻
これらは書店や学習塾で目にする機会も多いと思う。
上に挙げた5つの基準で評価すると次の一覧表のようになる。
各過去問集の詳しい長所・短所については以下の通りだ。
1.英俊社の過去問集(赤本)
英俊社の過去問集は、赤本などとも呼ばれ、最も有名な過去問集の1つだろう。
掲載年数はどの過去問集でもだいたい5年分となっている。
リスニングCD(都道府県によってはダウンロードデータ)がしっかり付属しており、国語の問題文省略もない。
問題文は年度別に整理されているため、試験本番を想定した問題練習ができる。
一方で、前期試験などの問題は別冊として出版されているため、複数の日程で受験予定の場合は過去問集も複数冊購入する必要がある。
過去問集として必要な機能は全てそろっており、安心して使用できるだろう。
どの過去問集を買うか迷っている場合は英俊社の過去問集を買っておけば後悔することはないと思われる。
2.東京学参の過去問集
東京学参の過去問集の最大の特徴は、前期試験や一般選抜の問題が両方掲載されており、これ1冊でどの試験日程にも対応できるという点だ。
掲載年数は都道府県にもよるが、4~7年分ほど。
リスニングはネット上でデータがダウンロード可能となっており、スマホを使ってリスニングの問題練習ができる。
ただし、国語の問題文が省略されていることが多い点には注意が必要だ。
具体的にどの問題が省略されているかはAmazonの商品説明欄に明記されている。
気になる場合は以下のリンク先から確認をしていただきたい。
3.高校入試虎の巻
上2つの過去問集に比べると、虎の巻は知名度が低く、初めて目にする方も多いかもしれない。
しかし、塾講師などの間ではおなじみの、知る人ぞ知る過去問集になっている。
リスニングCDは付いていないことが多く、前期試験などの試験問題にも全く対応していない。
国語の問題文省略については、どこにも明記されていないため省略の有無は不明。
(私の手元にあるものは省略は無かったが、全ての都道府県で省略がないかは不明。)
こう言うと全く良い所がないように思われてしまいそうだが、この過去問集の最大の特徴は掲載年数と問題の配列にある。
掲載年数は9~12年分と、他の過去問集を圧倒する分量となっている。
また、問題の配列は直近2年分が年度別、それ以外は分野別に配列されている。
分野別にも整理されているので、苦手分野などの対策がしやすく、公立入試対策の問題集として活用できるのだ。
そのため、これを用いて入試対策の授業などがしやすく、塾講師や家庭教師などからは絶賛される過去問集になっている。
塾講師や家庭教師と一緒に問題練習を進める過去問集としては最適の過去問集と言えるだろう。
おすすめの過去問集まとめ
- 迷ったら英俊社の過去問集が無難
- 1冊で済ませたいなら東京学参の過去問集
- 過去問集を使ってガッツリ入試対策がしたいなら虎の巻