夏に近づくにつれ、今まで部活に専念していた受験生たちも部活引退となり、勉強へと方向転換し始める。
夏休みは学習塾に受験生たちが殺到し、進学塾などでは夏期講習や学習合宿が開催されることになる。
それもそのはず、夏休みはこの1年の中で最もまとまった時間がとれる絶好の受験勉強期間なのだ。
この期間にしっかりと勉強できるかどうかで受験の結果が大きく変わる。
今まで一切受験勉強に手を付けていなかった受験生も、夏ならまだまだ挽回が可能だ。
ここでは、夏頃(6月,7月,8月)に行うべき勉強法やその注意点、この期間に使用すべき中学数学のおすすめ参考書などについて解説したいと思う。
目次
高校受験で夏(6月,7月,8月)に取り組むべき中学数学の参考書と勉強法
ポイント1.実力テスト・模擬試験の結果をもとに苦手分野の復習をする
夏頃になると、春から順次受けてきた実力テストや模擬試験の結果が返却されて返ってくる。
春の段階である程度1,2年内容をしっかり復習していれば、テストの結果にははっきりと自分の苦手分野が現れていることだろう。
多くの受験生たちが1次関数や図形の証明、文章題を苦手としているし、人によっては応用問題よりも単純な計算問題の方を苦手としている場合もある。
夏に取り組むべき勉強は、この自分の苦手とする分野の克服にあてるのが良いだろう。
というのも、周りと比べて自分が苦手としている分野は、比較的少ない労力で得点を上げられる可能性が高いからだ。
そもそも、実力テストや模擬試験、入試本番で出題されるような問題は、ある程度のレベルを超えると一気に難易度が急上昇するという特徴がある。
中学数学については特にこの傾向が激しく、大部分の受験生にとって解説を読んでも全く理解できないような超難問がどの試験にも出題されている。
実を言うと、このような難問には一切手を付けず、とれる問題で確実に得点することが受験数学の攻略法なのである。
要するに、受験数学では苦手分野を作らず、易しめの問題が出題されようものなら分野を問わず確実に得点することが最も重要なのである。
この苦手克服を行う段階で私が最もおすすめしたい問題集が「入試によくでる数学(標準編)」である。
この問題集には、入試で手を付けるべきでない難問奇問や、入試で出題されそうにもないウォーミングアップの問題などは一切掲載されていない。
まさに、入試でよく問われるし、問われた場合に確実に得点したい問題が集められているのである。
この問題集の詳しい内容については以下の記事で詳しく解説しているので、興味があれば参考にして頂けると幸いだ。
ちなみに、実力テストの結果、苦手分野だらけでどれから手を付けてよいかわからない場合は、「計算力トレーニング」などを併用して計算分野をまず固めるとよいだろう。
逆にある程度満遍なく出来ており、どれから手を付けてよいかわからない場合は、中2までの内容でも最も重要性の高い1次関数分野に取り組むか、次に示す2学期の先取り学習に進むとよいだろう。
ポイント2.余裕があれば2学期以降の先取り学習を
実力テストや模擬試験でそこそこの成績がとれていたり、苦手克服が順調に進んでいるからといって全く油断はできない。
というのも、受験数学で最も重要な分野は中3数学の後半(2次関数・相似・円周角・三平方)に集中しており、中3の夏段階ではいずれも習っていない内容ばかりだからだ。
これらの中学数学後半部分を学習し終えてはじめて、ようやく中学数学のまともな受験勉強に入れるのである。
そのため、中2以前の分野でしっかりと苦手克服が完了し、簡単な問題を取り逃す恐れがなくなったところで、すぐさま2学期以降に習う数学の予習に入っていくのが理想である。
実際、多くの進学塾などでは夏休み期間などを利用し2次関数の予習授業を行い、2学期に入ると同時に図形分野に入っていくようなカリキュラムをとることが多い。
この先取り学習には、「チャート式中学数学(中学3年)」などを使用して自習するのが理想であり、学習が受け身でないためにこれが最も力のつく勉強法であるといえる。
しかし、この段階では多くの受験生にとって自分で解説書を読んで予習を行う経験が乏しいことがほとんどだろう。
そんな場合は スタディサプリの中学講座 を使用するのが無難だ。
スタディサプリでは中学数学の授業がすべて公開されており、自分のペースでいくらでも先取りして授業を視聴することができる。
自分で参考書を読み進めるよりは予習のハードルがぐっと下がるはずだ。
スタディサプリ中学講座については以下の記事で内容等を解説しているので参考にして頂きたい。
ポイント3.塾の夏期講習に参加するのもよいが・・・
上では自習用の参考書やスタディサプリ中学講座を紹介したが、自力での予習ではなく塾に通うというのはどうだろうか?
夏からの入塾については1点だけ注意事項がある。
集団指導塾に通う場合は、学校の進度に比べてはるかに先のカリキュラムを扱っていることが多いのだ。
夏休み前の学校の進度は平方根が終わったか2次方程式の中盤くらいまで進んでいることが大半である。
しかし、集団指導塾では2次関数の予習に入っていたり、2次関数の基礎はわかっている前提で2次関数の応用問題をバンバン解いていたりする。
私は毎年のように、夏期講習から参加する生徒に呼び止められて質問攻めにされている。
あなたが塾講師を呼び止めて質問攻めできる性格なら問題ないが、そうでなければ スタディサプリの中学講座 あたりを使って予習をしておくか、集団指導塾はあきらめて個別指導塾や家庭教師に頼ったほうが無難と言えるだろう。
以上に示した内容は、夏期講習から参加する場合だけでなく、夏休み後に集団指導塾に参加する場合も同様である。
ポイント4.資格取得は計画的に
とは言っても、夏休み期間中などは学校で授業や定期テストがないのに、自分で中3数学をどんどん予習していくのにはなかなかモチベーションも湧きづらいだろう。
そういう場合は、秋頃に実施される数学検定(3級)に応募し、中3数学を予習せざるを得ない状況に自分を追い込むことも良い選択だ。
数検の難易度は実際の入試問題に比べるとはるかに易しく、入試のための基礎固めには最適である。
しかも、もし検定に合格できれば、高校によっては面接試験などで加点してもらえる事もあるおまけ付きだ。
検定の日程は、高校受験に差し障りのない10月,11月頃に受けることが多いだろう。
検定日までには中3数学の全内容を予習し終わっていなければならないため、遅くとも夏休みの終わり頃までには検定を受けるかどうか決断していなければ間に合わない。
資格取得をすべきかどうかはこの夏の間にじっくり考えておくとよいだろう。
もし受験することになった場合、中3内容の予習にはやはり「チャート式中学数学(中学3年)」や「スタディサプリの中学講座 」を使うのが良いだろう。
数学検定対策本で予習を行うことはとてもおすすめできない。
というのも、対策本ではすでに内容を一度習っている前提で問題が掲載されていることがほとんどで、軽い復習程度にしか内容がまとめられていないことが多いためだ。
ただし、日本数学検定協会が出版している数検の過去問集だけは絶対に購入し、難易度などの感覚をつかんでおくことを強くおすすめする。
ポイント5.過去問集は早めに買って出題傾向を確認する
夏頃になると、実力テストや模擬試験の結果を使い、三者面談などを行って、ある程度進路も決定する頃ではないだろうか?
進路がある程度決まり次第、すぐさま過去問集を購入することをおすすめしたい。
過去問集、いわゆる赤本は6月中旬頃から順次発売され、夏頃には購入可能となっているはずだ。
遅かれ早かれ必ず必要となってくるものであり、必要な時期にはAmazonなどでも在庫切れが多発するので、夏頃のこの時期に早めに購入しておくことをおすすめしたい。
過去問集は、購入後すぐにどんな分野が出題されているかを確認しておくことが受験において最重要ですらある。
特に、私立高校の過去問は超重要だ。
公立高校入試については毎年問題が似たり寄ったりしていることも多いが、私立高校入試の場合は明確な出題傾向があったりするので特に注意が必要なのである。
毎年文章題が必ず出る、関数は毎回必ず2次関数、確率はサイコロの問題しか出ない、作図問題は出ない、証明問題は出ない、三平方の定理は学習タイミングが受験時期に間に合わないので出題されない・・・等々。
私立高校が第一志望の場合は、入手しやすい最新5年分の過去問だけでなく、古本を購入してさらに過去の5年分、あわせて10年分くらいの過去問を入手しておくのもよいだろう。
出題傾向によっては、まるまる1分野2分野学習しなくてよい分野が出たりするので、できれば本格的な受験勉強に入る前に確認すべきである。
過去問集は、受験勉強もほとんど終わり、最後の確認用に開けて解いてみるようなものではないので絶対に注意すること!
この点は受験生で勘違いしている人が多いので特に注意を促しておきたい。
過去問集は様々な出版社から発売されているが、公立高校の過去問集の選び方については以下の記事で詳しく紹介しているので参考にして頂ければ幸いだ。