この計算ミスさえ無ければ、成績がどれだけ上がっただろう、とテスト後に後悔する中学生は多い。
しかし、少し考えてみて頂きたい。
成績上位者の常連となっているあの優等生は、本当にあなたと同じ計算をしているのだろうか?
現在、私は数学を教えているが、もともとは計算が非常に遅く、テストではミスだらけだった。
それがいつ克服されたか?
克服されていないのである。
私は今でも複雑な計算が大嫌いだ。
そして、大嫌いであるが故に、それを避けるような計算の工夫をしているのである。
数学が苦手な生徒ほど、複雑な計算と真正面に向き合い、努力でそれに打ち勝とうとして失敗する。
複雑な計算は、それをやわらげるためのテクニック、回避するための工夫こそが必要なのである。
実際、高校側も受験生たちにこの能力をこそ求め、入試で問うているのである。
この計算テクニックを、中学数学の分野で徹底的にかき集めて解説した問題集が、この高校入試突破「計算力トレーニング」である。
このスタンスが多くの中学生たちに支持されて、Amazonや楽天では常に中学数学参考書ランキングに殿堂入りするおなじみの1冊となっている。
ここでは、高校入試突破「計算力トレーニング」の特徴や使い方について整理していく。
計算に悩む中学生たちの参考になれば幸いだ。
目次
高校入試突破「計算力トレーニング」の特徴まとめ
難易度 | ★☆☆☆☆ | 誰でも取り組める |
問題数 | ★★☆☆☆ | 全60テーマ |
内容 | 高校入試用の計算ドリル | |
ページサンプル | なし | |
使用開始時期 | 入試対策初期 | |
楽天での評価 | ★★★★★ | 星4.8 ⇒口コミ |
Amazonでの評価 | ★★★★☆ | 星4.3 ⇒口コミ |
高校入試突破「計算力トレーニング」の難易度と到達レベル
「計算力トレーニング」で扱われているテーマは、当然のことながらすべて計算分野であり、難易度は低めである。
そのため、数学が苦手な中学生が手にとっても何の問題もないし、むしろそういう人こそぜひ取り組むべき問題集である。
扱われている内容は中1~中3内容全体になるので、中3の受験生が使用するのが普通だと思われる。
しかし、計算を徹底的に強化したいと考えている中1生でも、習った分野だけを解いていけば十分使用することが可能だろう。
中学生用ではあるが、高校入試で必要な小学校の算数の計算も含まれており、入試で重要な計算分野はこの1冊で網羅できる。
どうせ計算なんだから「簡単な問題ばかりだろう」となめていてはいけない。
やや高度な因数分解や、複雑な等式変形、相似など図形の計算方法など、学校でほとんど教わらないような計算技術も含まれている。
灘高校などの一部のトップレベル校を除いて、この1冊で受験の計算分野は完璧になる。
高校入試突破「計算力トレーニング」のページ構成
全60テーマのぞれぞれについて、左ページで計算方法具体例が紹介されている。
右ページには練習問題がびっしり書かれており、解き切るまでの目標時間が書かれている。
練習問題の問題数は、各テーマ毎に15~40問ほど。
練習問題の解答は別冊解答にまとめられている。
練習問題と解答は縦横のラインが完全に一致するよう書かれており、丸付けが非常にしやすいレイアウトになっている。
ただし、練習問題の解答には途中式が一切書かれておらず、解答を見てもどこで間違えたかを特定することはできない。
とは言っても、例題をしっかり理解した上で問題練習に取り組めば、全く同じ解法で問題を解くことができるようになっている。
解説や途中式がないために困ってしまうような状況はそうそう無いだろう。
高校入試突破「計算力トレーニング」のおすすめの使い方
解き方をよく知っている分野についても、まずはしっかりと例題の解説を読んでみることをおすすめしたい。
というのも、学校の授業や一般的な参考書では語られないような独特の計算テクニックや、途中式の効率的なメモの仕方などがアドバイスされているためだ。
「自分はこの分野は知っているから」と油断せずに、積極的に新しいやり方を取り入れていく姿勢が重要である。
練習問題は、できればページをコピーして問題中に書き込みをしながら解いていくのが良い。
右ページに書かれた目標時間を意識し、必ずストップウォッチや勉強タイマーを使用して時間を記録していくことが重要だ。
計算分野はダラダラやっていては意味がないので、とにかくスピードと正答率の2つを上げることを意識すること。
ちなみに、私が今まで愛用し、受験生に最もおすすめする勉強タイマーが下のdretecの勉強タイマーである。
消音機能があるので、塾などの自習室でも使えて便利だ。
時間制限を設けて勉強を進めていく姿勢は、これ以外の問題集を使う際の受験勉強においても極めて有効である。
また使ったことのない受験生は、ぜひこれをきっかけにタイマーを用いて問題を解くくせをつけておくことをおすすめする。
高校入試突破「計算力トレーニング」の目次と問題数
1章 通分と方程式編
1.通分・互素型(炭田法)
2.通分・公約型
3.通分・対整数、倍数型
4.通分・3連続
5.通分・文字式
6.通分・多項式の分子
7.1次方程式・係数飛ばし
8.1次方程式・通分飛ばし
9.連立方程式・飛ばし
10.等式の変形
2章 四則混合計算編
11.指数・文字式
12.指数・数値
13.乗除・商逆転
14.乗除・母子分け、決めはずし
15.乗除・基本型
16.乗除・分数型
17.乗除・文字式
18.四則計算・項まとめ
19.四則計算・基本型、分数型
3章 展開と因数分解編
20.展開・右違型
21.展開・平方型、共役型
22.展開・一般型(内内外外)
23.逆もどり九九
24.因数分解・1左型(元右違型)
25.因数分解・1左型(元平方型、共役型)
26.因数分解・一般型(左右積法)
4章 平方根編
27.平方根基礎
28.平方根基礎・ルート化
29.平方根の積・倍数型、公約型
30.平方根簡約
31.平方根の積
32.展開・平方型(内部和)
33.展開・共役型(内部差)
34.展開・両違型、右違型
35.分母の有理化
36.分母の有理化・多項式型
5章 図形の計量編
37.比の値・矢印法
38.特別な三角形・斜辺の長さがわかっている場合
39.三平方の定理・内部和法
40.三平方の定理・分数型、公約型
41.相似な直角三角形
6章 2次方程式編
42.平方完成
43.平方完成・1左型
44.2次方程式・1左型
45.2次方程式・一般型
46.2次方程式・解の公式
47.2次方程式・因数分解の利用
7章 式の計算編
48.因数分解・くくりと交代
49.因数分解・4項型
50.因数分解・おきかえ
51.展開・おきかえ
52.累乗の公式群
53.因数分解・一般型
54.式の値
8章 基礎計算編
55.引き算・左左右右法
56.引き算・代数和
57.掛け算・レンガ法
58.掛け算・平方型
59.掛け算・左左右右法
60.掛け算・右違型
問題編ページ数 167ページ
別冊解答ページ数 31ページ
高校入試突破「計算力トレーニング」についてのQ&A
誤りは、最新刷が更新されるたびに修正されている。
そして、現在の最新刷である第14刷では、2021年3月現在誤りは発見されていない。
ちなみに、正誤表についてはこちらの出版社公式サイトから確認できる。
定期テスト対策にも使える?
中1で習う正負の数や累乗、1次方程式の計算問題など、定期テストで問われやすい内容がしっかり扱われている。
また、小学校の通分や四則計算など、中1でも取り組めるテーマは結構ある。
ただし、扱う内容は学年別に配列されていない。
どれが習った内容かは自分で判断しなければいけないので注意が必要だ。
各分野の応用問題に比べ、計算問題はとにかく取っつきやすい。
また、計算の正確さは全ての分野で求められる基礎能力となっている。
できるだけ早めの段階で鍛えておくと、その後の数学の勉強が非常に捗る。
2021年4月の教科書改訂で中学数学に追加される分野は、累積度数や四分位数、反例など、計算分野とはほとんど無縁の内容ばかりである。
改訂対応版が出版されるとは思えないし、出版されたとしても形ばかりの改訂で、内容はほとんど変化しないだろう。
高校入試突破「計算力トレーニング」を使うのに向いている人まとめ
- 計算に苦手意識がある
- 計算ミスでよく失点する
- 受験生だが、何から手を付けていいか分からない
- 計算を楽に進める方法が知りたい