難易度の高い高校を受験する際に、“高校への数学”とか“東京出版”という用語を耳にする機会は少なくないだろう。
というのも、東京出版こそ中学・高校・大学受験を通して、難度の高い入試数学の解説に最も定評のある出版社の1つだからだ。
とはいえ、東京出版の高校への数学シリーズは学校で習う中学数学に比べてはるかにレベルが高く、なかなか入門しづらい状況となっている。
「レベルアップ演習」は、この高校への数学シリーズの中でも入門書的な位置付けの問題集となっており、他のシリーズ参考書に比べて比較的難度が低い。
そのため、多くの受験生たちがこの問題集をきっかけに高校への数学シリーズに入り込み、大学受験までお世話になった方も多いのではないだろうか?
ここでは、この「レベルアップ演習」の特徴について詳しく解説していきたいと思う。
目次
「レベルアップ演習」の特徴まとめ
難易度 | ★★★★☆ | 入試仕上げレベル(偏差値65以上) |
問題数 | ★★★☆☆ | 大問数166題(その他のドリル含めず) |
内容 | 演習中心の問題集 | |
ページサンプル | なし | |
使用開始時期 | 中学3年の中盤以降 | |
楽天での評価 | ★★★★★ | 星5 ⇒口コミ(2020年度版) |
Amazonでの評価 | ★★★★☆ | 星4 ⇒口コミ(2020年度版) |
「レベルアップ演習」の難易度と到達レベル
本書は「高校への数学シリーズ」のなかでは入門書的な位置付けとなっている。
このように言うとこの問題集がそこそこ簡単だという風に誤解されてしまうかも知れないが、難易度はかなり高めであることに注意すべきである。
公立中学校の授業内容とは全くレベルが違い過ぎるので、授業を受けただけの状態からこの問題集に取り組むのはかなり難しいだろう。
また、そもそも偏差値60以下の高校を受験するのであれば、この問題集のレベルの問題を解く必要はないと思われるので、もう少し易しめの参考書である「入試によくでる数学(標準編)」などをやった方が良い。
この問題集の表紙に“公立・中堅私立高校受験生用”などと書かれているが、真に受けてはならない。
明らかにこの問題集は各地域でかなりハイレベルな高校の受験対策として採用されるべきものであり、書かれている内容をしっかりマスターできれば中学数学に関しては相当優秀な部類に入るだろう。
“入門書的”とは言ったものの、この1冊を極められれば一般的な模擬試験などで偏差値70以上をとることも難しくないだろう。
問題集の形式として、まず問題がずらりと並べられ、それを解いていくなかで受験のテクニックが学べるという演習中心の形式となっている。
そのため、そもそも受験特有のテクニックを一切知らない場合は、全く問題が解けずに心が折れてしまう場合がある。
進学塾や通信教育などで高校受験のテクニックなどをしっかり学んでいない場合は、「塾技100」などを使ってまずは講義・例題・類題演習の形式を通してテクニックの習得を先に行っておくと、安心して問題集に取り組んでいくことができるだろう。
「レベルアップ演習」のおすすめの使い方
内容は分野別に並べられているので、1ページ目から取り組んでも良いし、学習済みの分野や苦手分野などから先に取り組んでもよい。
各分野ごとに、問題は「warm-up try」「level-up try」「Challenge & Check」の3つのレベルに分類され、整理されている。
易しめの問題に苦労するようであれば、「level-up try」「Challenge & Check」など難しめの問題は後回しにしてもよいだろう。
問題の解き方に関するテクニックなどは全て問題の解説を通して説明される。
そのため、各大問を解いたあとはすぐに解説を確認する。
答えが合っていても、解説でより応用の効く受験テクニックなどが解説されていることも多いので、しっかりと解説を読み込んだ上で、知らない解き方は積極的に取り入れるという姿勢が重要である。
解けなかった問題は、ある程度時間が経過したあとで必ず解き直しをする必要がある。
ただし、高校への数学シリーズに共通する特徴であるが、単に解法を覚えるための問題ではなく、数学的思考力を鍛えるための問題も多数掲載されている。
分からない問題はすぐに解答を見て解法を覚えるより、一問にじっくりと時間をかけて試行錯誤しながら解いた方がよい問題も多い。
「レベルアップ演習」の目次と問題数
第1部 数式編
1.式の計算(1)-因数分解までの計算 14題
2.式の計算(2)-平方根&2次方程式 10題
3.整数 18題
4.文章題 16題
5.場合の数・確率 16題
第2部 図形編
6.相似&線分比・面積比 11題
7.三平方の定理 15題
8.円(1)-1つの円 14題
9.円(2)-円の接線&複数の円 10題
10.立体 18題
11.関数・座標 24題
その他
因数分解のドリル 105題(小問)
角度のドリル(1)-直線図形編 11題
角度のドリル(2)-円編 10題
作図のドリル 8題
動く図形のドリル 7題
ミニ講座1:余事象の使い方
ミニ講座2:立方体の切断
第1部2部合計問題数 166題
ページ数 176ページ
(※)上記のページ数や問題数は2021年度版のものであり、年度によって問題数やページ数は異なるため、あくまで参考程度に。
「レベルアップ演習」についてのQ&A
一般的な定期テスト対策問題集<<<<<<<<<レベルアップ演習<Highスタンダード演習<<<<<日々のハイレベル演習
「レベルアップ演習」と「Highスタンダード演習」の難易度差はそこまで感じられなかったので、とりあえず迷ったら「レベルアップ演習」からでいいと思う。
「レベルアップ演習」の問題形式が気に入り、受験までに十分時間的余裕があれば、続けて「Highスタンダード演習」にも取り組むとよいだろう。
日本有数のトップレベル校を受験するのであれば、「日々のハイレベル演習」までこなしておくと安心だ。
もともと相当数学が得意で、一般的な模試で偏差値70以上とれるような受験生は、いきなり「日々のハイレベル演習」から始めてもいいだろう。
ちなみに、「レベルアップ演習」と「Highスタンダード演習」は分野別の問題集になっており、「日々のハイレベル演習」は分野別ではなくどちらかといえば難易度別に問題が配列されている。
そのため、「レベルアップ演習」などは中学数学をすべて学び終わらなくとも一応取りかかることはできるが、「日々のハイレベル演習」の方は中学数学を学び終えてからでないとなかなかスムーズに問題演習できないだろう。
ただし、毎年3月中旬頃に発売されるが、とにかく在庫切れが発生しやすい。
在庫切れになった場合は、値段が高めの転売品を買うか、東京出版の公式サイトから購入するしかないが、送料などが無駄にかかってしまう。
ある程度購入する意志があるのであれば、あらかじめ予約購入をして、3月の発売と同時に購入するのが安心だろう。
今も昔も良問ぞろいであることに変わりはないが、特に過去版にこだわる必要もないため最新版を買うとよいだろう。
各年度版の改定内容はこちらの東京出版公式サイトに記載されているので、心配な場合は確認しておくとよい。
教科書改定によって中学数学に資料の整理に関する内容追加が行われたが、そもそも「レベルアップ演習」ではこれまでに資料分野の問題が掲載されたことがないため、内容変更の必要性がないのだ。
教科書改定内容を含む新傾向問題がどうしても気になる場合は、高校への数学シリーズで新傾向問題のみを詳しく扱った「公立入試数学難化&新傾向問題ピックアップ」を使うとよいだろう。
「レベルアップ演習」を使うのに向いている人まとめ
- 偏差値65以上の高校を志望している
- 高校への数学シリーズ(東京出版の数学参考書)に興味がある
- 高校入試の模擬試験で偏差値70以上をとってみたい
- 進学塾で数学を教えることになった新人講師だが、何を使って中学数学を復習するか迷っている